日本胸部疾患学会雑誌
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抗ミエロペルオキシダーゼ抗体陽性の急速進行性糸球体腎炎に合併した間質性肺炎の1例
三井 いずみ市原 宏草島 健二村田 嘉彦大石 不二雄下出 久雄河端 美則
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1996 年 34 巻 9 号 p. 1015-1020

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抄録

急速進行性糸球体腎炎の経過中に増悪した間質性肺炎の1例を経験した. 症例は78歳の男性で1994年10月, 開放腎生検で半月体形成性糸球体腎炎と診断され, プレドニゾロン一日50mgから開始し5mgに減量中, 胸部X線上, 間質性陰影が出現し拘束性換気障害と拡散能障害を伴った. 1995年4月胸腔鏡下肺生検を施行し, 間質性肺炎 (UIP病変) の所見を得た. プレドニゾロンを一日50mgに増量し, 以後間質影の減少と呼吸機能検査上の改善がみられている. 抗ミエロペルオキシダーゼ抗体は16EU/mlで弱陽性であった. 急速進行性糸球体腎炎に合併する肺病変として, 肺胞出血は従来から認識されてきたが, 間質性肺炎, 肺線維症の報告は稀である. 今回の症例は腎組織, 肺組織の双方を得られた点で貴重であり, 抗ミエロペルオキシダーゼ抗体陽性の急速進行性糸球体腎炎と間質性肺炎の関連を考察する上で興味深い症例と思われた.

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