日本胸部疾患学会雑誌
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7ヵ月間の人工呼吸管理より離脱出来た下降性壊死性縦隔炎の1例
大野 耕一郎高田 俊範寺田 正樹佐藤 誠鈴木 栄一和田 光一広野 達彦荒川 正昭
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1996 年 34 巻 9 号 p. 1021-1029

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抄録

抜歯を契機として, 頸部膿瘍から多臓器不全を伴う下降性壊死性縦隔炎を発症したが, 7ヵ月間の人工呼吸器管理から離脱し, 救命し得た1例を経験した. 症例は61歳, 男性. 抜歯の翌日より頸部蜂窩織炎を発症, 1週間後, 膿胸を伴う縦隔炎に進展し, 細菌性ショック, 多臓器不全, DICを合併した. ショックに対して, カテコラミンによる循環管理, 重症感染症に対して感受性のある抗菌薬の使用, 早期からの充分なドレナージ, そして呼吸不全に対してステロイドパルス療法が有効であった. 高濃度の酸素吸入, 長期間の鎮静・筋弛緩, 気管縦隔瘻の残存, および縦隔・胸郭内の残存器質化病変にも拘らず, 212日間という長期間の人工呼吸管理から離脱出来た極めて興味ある症例であった.

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