日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
初期悪化をきたした非定型抗酸菌症 (Mycobacterium xenopi 症) の1例
白山 玲朗濱田 薫林 宏明友田 恒一伸谷 宗裕吉川 雅則米田 尚弘成田 亘啓
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 34 巻 9 号 p. 1035-1039

詳細
抄録

66歳, 男性, 布団加工業. 咳嗽, 喀痰, 微熱を主訴に受診. 胸部X線で右上肺野に多発嚢胞影と浸潤影とを認めた. 喀痰から抗酸菌を検出したため, INH (400mg/日), SM (0,75g/日), RFP (450mg/日) の3者で加療したところ浸潤影は縮小, 無気肺化し, 喀痰からの抗酸菌も陰性となった. しかし治療開始後約2ヵ月で右下葉に新たな浸潤影が出現, 同部からのTBLBで器質化滲出物を伴う胞隔炎の所見を得た. 初期悪化と考え, 3者による治療を継続したところ, 約2ヵ月の経過で陰影の消失をみた. 経過中喀痰の80日培養で Mycobacterium xenopi を連続して検出し, 本例は非定型抗酸菌症と診断した. M. xenopi 感染症は本邦では稀で, 第3例目の報告であり, また非定型抗酸菌症でも肺結核症と同様に初期悪化の概念が適応される症例があると考えた.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top