日本放射線技術学会雑誌
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5. 受診者の心理と術者の対応(マンモグラフの撮影技術)
小山 智美
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1993 年 49 巻 10 号 p. 1835-1838

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抄録

今回, あけぼの会の方何人かとお話する機会を得ましたが, そのなかで, 「ある学会において, 勝手に患者心理について話されていたので意見を言わせてもらいました」とおっしゃっていました.医療社会は封建的です.そして, 私たち医療従事者と受診者とは, とかく, 上下の位置関係になりがちです.そしてお互いがその位置関係に慣れ, 満足しています.上の者が勝手に下のことを考え, 下の者は上に言いたい事も言えない, そんな雰囲気を作っていました.私たち医療従事者と受診者は, 上下関係ではなく, 横の関係でなくてはなりません.アンケートの中, 同じ術後の患者さんで, 一人は, 『こんな胸を男性には見せたくない』と女性技師を希望し, また一人は, 『コンプレックスを感じるので女性には見せたくない』と男性技師を希望され, 同じ状態とおもわれる受診者の方でも, まるっきり正反対の答えがありました.受診者の心理は決して画一化されたものではありません.受診者と術者はお互い話し合い, 気持ちを理解することが必要と考えます.そしてもし, 今後機会が得られれば, 受診者・患者さんと同席して, 受診者心理・患者心理について話し合えればと思います.そのなかから, 必然的に違う形の術者の対応が出てくるのではないでしょうか.また, 今回の学会会場でも話題になった, 女性術者の対応に関しては, アンケート結果で20代, 30代の半数以上が女性術者を希望している事, 医療に対する一般の方々の意識が変化している事等から考え, 近い将来, より一層女性術者のニーズが高まるものと考えます.乳房撮影の特殊性は, 撮影技術の特殊性ではなく, この演題にもなっている, 受診者の心理状態が他の撮影と大きく違うところにあります.私たち術者がそれを考え, 理解することにより, より良い検査ができるものと確信します.最後に, 今回貴重な御助言をいただきました, あけぼの会の皆様に心からお礼申し上げます.

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© 1993 公益社団法人 日本放射線技術学会
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