日本放射線技術学会雑誌
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臨床現場で遭遇する倫理的諸問題(医療倫理入門)
青山 裕
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2004 年 60 巻 10 号 p. 1369-1373

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抄録

医療の倫理は,クライアントに責任を負う医師の視点から主に研究され,個別の問題をいかにすべきかを多様な立場から論じ,あるいは判例が検討されている.もちろん,倫理問題には明確な答えが存在するのではなく,各個人により判断,見解は相違する.クライアントの生死に身近でかかわることの少ない診療放射線技師にとって医療倫理を論じることには,違和感があるかもしれない.最良の画像を提供する医療行為の実施以前に,クライアントは被写体であり,繊細な感情を持った「ひと」である.一方,医療被曝については,技師の裁量に倫理は欠かせない.また,職域の問題もあり,臨床現場では他医療従事者との関係も含め,疑問,葛藤を感じることが多々生じる.クライアント中心の医療に医療技術者としていかに参加するか,技師にとっての倫理を考え,意識するということはどういうことか,医療倫理の四原則にアドボカシーを考慮しつつ考察する.

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© 2004 公益社団法人 日本放射線技術学会
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