日本放射線技術学会雑誌
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強度変調放射線治療(IMRT)の実際 : すべては患者さまのために(第60回総会学術大会)
成田 雄一郎
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2005 年 61 巻 5 号 p. 624-633

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抄録

ここまで多くのマスコミ等に取り上げられている強度変調放射線治療(intensity modulated radiation therapy : IMRT)であるが, 現在日本国内でこの治療を行っている施設は限られている.臨床的にはすべての疾患に有効であるとはいえないが, IMRTだからこそその利点を最大限にいかし, 根治に導ける症例も数多い.技術的には, 放射線治療装置からのビーム線束に対し多分割コリメータを駆使して計画的に強度変調を加える.そして患者体内の腫瘍容積に線量を集中させるといった単純明快な方法である.現在では, 多分割コリメータと逆方向治療計画(inverse planning)装置を導入するとどこでもIMRTを開始できる状況にある.とかくIMRTでは, 機器的な質的保証/質的管理(QA/QC), 線量検証(dosimetric verification)が大きく取り上げられがちであるが, 最大の難しさは実際の治療の現場にある.線量分布を究極なまでに腫瘍容積に集中させるため, 治療計画通りの線量集中を実際の日々の治療でいかに実現するかが課題なのである.そのため, セットアップ精度をいかに上げるか, 腫瘍の体内変動をいかに補正するか, これらに起因する位置変動誤差を治療計画の計画マージン〔計画標的容積(planning target volume : PTV)〕にいかに妥当に設定できるかが, 結果的にIMRTの臨床的有効性に大きくかかわってくるのである.IMRTを行う実際の現場では, 機器的QA/QC, 線量検証はもちろん, 治療計画の妥当性, 最適治療計画の臨床的判断, 治療時の患者固定によるセットアップ精度向上の試みとその評価など, 従来の治療でも当たり前に実施してきたことをより慎重に行う必要がある."すべては患者さまのために"

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© 2005 公益社団法人 日本放射線技術学会
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