日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
Print ISSN : 0369-4305
ISSN-L : 0369-4305
臨床技術
照射野開口コントローラの設定が患者個別品質保証に与える影響
中村 浩幸 玉本 哲郎遠山 隆昭飯田 凌山本 将吾廣橋 里奈
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 78 巻 2 号 p. 188-199

詳細
抄録

【目的】Aperture shape controller(ASC)はMLCの開口サイズを大きくすることで,複雑さを低減するための治療計画装置上のツールである.本研究の目的はASCの強度を変化させた際に,治療計画上で線量指標の受ける影響を明確にしたうえで,検証用ファントムを用いた患者個別quality assurance(QA)における検証結果への影響を明らかにすることである.【方法】AAPM TG-119で提示されているmock structureのうち4種類に対し,それぞれ三つの強度の線量制約を設定したvolumetric modulated arc therapy(VMAT)治療計画をASCの使用なしで立案した.次にASCの設定をVery Low, Low, Moderate, High, Very Highに変更し,PTVやOARの線量制約を変更せず,再度最適化し治療計画を作成した.その後,治療計画の線量指標を評価した.更に検証用ファントム上にtrue composite法で治療計画を移植し,患者個別QAを行い評価した.【結果】ASCの設定を変更することにより線量目標を逸脱した治療計画は3.6%(2/55)であった.患者個別QAではASCの設定の強度をModerateにしたとき,ASCを使用しないときと比べγ解析パス率が1.5%上昇した.またASCを使用しないときにγ解析パス率が95%以下の治療計画においては,ASCの設定をModerateにすることで2.7%のγ解析パス率上昇がみられた.【結論】ASCを設定することにより患者個別QAは改善される傾向を確認した.PTVやOARの線量目標を逸脱することなく,ASCを使用しないときと比べ患者個別QAの検証結果は改善され,特にASCを使用しないときの患者個別QAの検証結果が95%以下の場合に改善が大きかった.

著者関連情報
© 2022 公益社団法人日本放射線技術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top