日本放射線技術学会雑誌
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臨床技術
異なるサブトラクション手法を用いた下肢サブトラクションCTアンギオグラフの比較
野田 典孝 舛田 隆則吉浦 貴之佐藤 友保船間 芳憲
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2023 年 79 巻 5 号 p. 440-445

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抄録

【目的】軌道同期ヘリカルスキャン法による下肢subtraction computed tomography angiography(SCTA)において,非剛体処理の有無によるサブトラクションの精度について比較を行い,非剛体処理を用いた下肢SCTAの有用性について検討する.【方法】対象患者は2015年3月から2016年12月までに下肢SCTAを施行し,かつ4カ月以内に下肢EVT(endovascular treatment)を施行した透析患者100名を対象とした.対象血管を膝上(above knee: AK)領域および膝下(below knee: BK)領域の二つに分類し,下肢EVT時の血管造影をゴールデンスタンダードとして,正常血管径に対し50%以上の狭窄率を有するものを狭窄ありとして視覚評価を行った.感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,正診率およびreceiver operating characteristic curve(ROC)解析を行い,area under curve(AUC)を算出した.【結果】非剛体処理を用いない手法において,AK領域で11%,BK領域で2%の石灰化除去不良を認めたが,非剛体処理を用いた場合すべてにおいて石灰化除去が可能であった.一方,AK・BK領域ともに,非剛体処理を用いた場合,特異度が低値を示し,AUCも非剛体処理を用いない手法と比較し非剛体処理を用いたほうが低値を示した.【結語】非剛体処理を併用してサブトラクションを行った場合,石灰化の除去能力が高く感度も高い結果となったが,一方で非剛体処理を用いない手法と比較し,特異度やAUCが低く,また同じ非剛体処理を用いた場合でも部位により診断能が異なるため診断をするうえで注意を要する.

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