日本放射線技術学会雑誌
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臨床技術
大規模災害を想定した緊急時放射線画像参照ネットワークの構築
若松 重良 西郷 康正奥 好史山下 貴大
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2024 年 80 巻 4 号 p. 385-389

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抄録

災害拠点病院では事業継続計画(business continuity plan: BCP)の整備およびそれに基づく訓練の実施が義務付けられている.当院では,この中に病院情報システム (hospital information system: HIS)が機能しない場合の大規模災害訓練の計画も含まれている.現状,多くの施設がHISを使用できない場合,放射線部門のpicture archiving and communication system(PACS)も影響を受け,ポータブルX線撮影装置等の検査画像参照ができなくなる.依頼した検査画像を医師が確認する際には,撮影装置本体のビューア機能しか使えないため撮影装置本体まで出向き画像所見を確認する必要がある.そのため診療放射線技師は医師の画像参照中,撮影業務の継続ができず,緊急対応が困難になる.また現在,可搬型画像サーバセットとして商品化されているものもあるが,日常的に使用している機器を用い災害時の画像ネットワーク構築を検討した報告は見当たらない.そこで,今回われわれは病院情報システムが稼働していない大規模災害の状況で,救急エリアに限定した可搬型の画像サーバを臨時的に設置し,緊急時の画像参照用にwireless fidelity(Wi-Fi)ネットワーク(緊急時放射線画像参照ネットワーク)を構築した.

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© 2024 公益社団法人日本放射線技術学会
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