論文ID: 2022-1286
【目的】頭頸部computed tomography(CT)撮影におけるdark band(DB)アーチファクトはbeam hardening(BH)現象に起因するアーチファクトであり,撮影対象のCT値の低下が問題となる.そこでわれわれは補償フィルタによってDBアーチファクトが低減可能か検証を行った.【方法】胸部ファントムの鎖骨前面にアルコールおよび水の2種類の補償フィルタを各々置いてDBアーチファクトを評価した.評価法は各補償フィルタの厚さと胸部ファントム表面から補償フィルタ間の距離を変え,DBアーチファクトおよびバックグラウンド(BG)領域のCT値の計測をした.更に各補償フィルタ使用の有無による平均SDを計測した.【結果】DBアーチファクト領域のCT値は各補償フィルタが30 mm厚以上でBG領域のCT値に近づき,胸部ファントム表面から各補償フィルタ間の距離を離すことで低下した.BG領域の平均SDは補償フィルタ未使用時と各補償フィルタ使用時で有意差を認めなかった.【結語】DB補償フィルタはDBアーチファクトを低減可能である.