論文ID: 2023-1380
【目的】肝臓のmagnetic resonance imaging(MRI)検査において,全肝の呼吸同期併用拡散強調画像(respiratory-triggered-diffusion-weighted imaging: R-DWI)は磁場不均一の影響により肝臓頭側の横隔膜ドーム下の画質低下が問題となる.そこでドーム下に範囲を絞った呼吸停止下DWI(breath-hold-DWI: B-DWI)の追加撮像の有用性を検討した.【方法】3.0 TのMR装置を使用し,2022年7月から8月に当院でethoxybenzyl(EOB)-MRI検査を受けた22例(男性14名,女性8名,平均年齢69.0±11.7歳)を対象とした.R-DWIとB-DWIのドーム下の視認性について放射線科医1名と放射線技師3名で4段階(1~4点)での視覚評価を行った.また,各DWIのapparent diffusion coefficient(ADC)値を比較した.【結果】R-DWIと比較してB-DWIではドーム下の視認性が向上した(2.67±0.71 vs. 3.25±0.43, p<0.05).各DWIのADC値に有意差はみられなかった(p>0.05).【結語】B-DWIはドーム下の視認性に優れ,R-DWIを補完する役割が期待できるため,EOB-MRI検査において追加撮像する有用性は高い.