日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
Print ISSN : 0369-4305
ISSN-L : 0369-4305
一対比較法における深層学習を用いた観察者不足改善手法の提案
田畑 成章 伊地知 哲也板井 宏孝立石 賢北 健斗尾畑 麻美河原 優菜園田 梨紗加藤 伸一井上 敏朗井手口 忠光
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論文ID: 2024-1446

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抄録

【目的】一対比較法における観察者の1人を深層学習に置き換えることが可能か,ヒトと深層学習による観察結果を比較した.【方法】観察画像は,CTにてファントムを撮影した.撮影条件は,120 kVp, 200 mAを基準とし,管電流を160 mA, 120 mA, 80 mA, 40 mA, 20 mAと変化させた計6種類とした.一対比較法は経験年数10年以上の診療放射線技師14名にて浦の変法で行った.深層学習モデルは,VGG16およびVGG19モデルをベースにして組み合わせて使用し,学習後モデル精度をAccuracy,Recall,Precision,Specificity,F1valueで評価した.また,検証用観察結果を基準観察結果と定め,深層学習モデルによる観察結果を含めた場合の平均嗜好度および画像間の有意差検定結果と比較した.【結果】ヒトの観察結果の最頻値とAI観察者の最頻値はほぼ同じ値を示した.深層学習モデルの平均正解率は82%であり,基準平均嗜好度との差は最大0.13, 最小0, 平均0.05であった.また,有意差検定では,管電流160 mAと120 mAの画像ペアおよび,200 mAと160 mAの画像ペアにおいて,一部実際の観察者をAI観察者に入れ替えたことにより有意差検定結果に違いがみられた.【結語】ファントムを限定した一対比較法(ノイズ7段階評価)では,深層学習を観察者の1人として使用できる可能性が示唆された.

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© 2024 公益社団法人日本放射線技術学会
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