抄録
膵嚢胞の経過観察中に発見された膵漿液性嚢胞腺腫の1例を経験したので報告する. 症例は70歳の女性で約11年前に膵体部に多房性の嚢胞性病変を指摘され経過観察中であった. 経過観察中に嚢胞径の縮小を認めたが, 再び嚢胞径が増大傾向になってきたために精査加療目的にて入院となった. 腹部造影CT検査で最大径約3.0cmを有する多房性嚢胞と膵体部に濃染される腫瘍性病変部および石灰化を認めた. ERCPでは明らかな主膵管の圧排・狭窄を認めなかったが, 臨床経過を考慮し悪性腫瘍も否定できず膵横断切除術を施行した.
病理組織学的検査所見では嚢胞内面に1層の立方上皮を認めたが, 悪性所見は認めず膵漿液性嚢胞腺腫と診断した. 一般的に, 嚢胞径の大きな膵漿液性嚢胞腺腫は稀であり, 文献的考察を加え報告する.