日本臨床外科学会雑誌
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症例
眼窩転移を生じた乳癌の3例
吉田 哲也先田 功福地 成晃辻江 正樹戎井 力藤本 高義
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2007 年 68 巻 3 号 p. 552-556

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抄録

眼窩転移を生じた乳癌3症例を経験した. 1例は乳癌の初発再発として眼窩転移を生じ, 腫瘍摘出術の結果, 失明・兎眼性角膜炎というもっともQOLを損なう結果となった. 2例は早期に診断し放射線治療を施行することで, 症状が劇的に改善し, 症状の再発も長期間防止できた.
本症はこれまで乳癌の経過中に多発転移の一つとして発症し, 予後不良とされてきた. しかし本邦報告例 (自験例を含む27例) の解析から, 乳癌の早期に発症する例も多く, 放射線治療がもっとも効果的であることが示唆された. 昨今では化学・内分泌療法の進歩により転移再発乳癌においても長期予後が期待できることから, 失明というQOLを著しく損なう可能性のある本症を早期に診断し, 適切な治療を行うことは非常に重要である.

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© 2007 日本臨床外科学会
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