2007 年 68 巻 3 号 p. 566-569
症例は74歳, 男性. 2004年2月, 肺癌にて左下葉切除術を行った. 同年4月左膿胸を発症し, 9月に開窓術, 12月に大網充填術を行い軽快した. 2005年9月, 左横隔膜ヘルニアを発症したため緊急手術を行いヘルニア門の縫合閉鎖を行った. 術後は良好に経過していたが2006年4月, 左横隔膜ヘルニアが再発しメッシュによるヘルニア門の閉鎖術を行った. 術後5カ月の現在, 再発は認めていない. 大網弁を挙上した際の横隔膜腱中心の切開部位がヘルニア門となったものであった. 同部は脆弱であり, 手術による剥離操作や電気凝固によってもヘルニアを起こした報告もあり. 大網弁挙上に際しては同部を貫通させることは厳に慎まなければならない.