2007 年 68 巻 3 号 p. 570-573
症例は46歳, 男性. 交通外傷後6カ月後に検診にて右横隔膜の挙上を指摘され前医受診, 胸部CTにて右横隔膜ヘルニアと診断されたが無症状のため経過観察となった. 3年後のCTにて所見が増悪していたため当科紹介となった. 胸腹部CTにて胆嚢を含む全肝臓, 右側結腸および胃前庭部の胸腔内への脱出を認めた. 横隔膜背側に約15×10cm大のヘルニア門を認め開胸開腹アプローチにて充填材を用い閉鎖した. 外傷性右横隔膜ヘルニアは稀であり, さらに無症状であるもののヘルニア内容が全肝・右側結腸など容量が多く, 開腹に加え開胸を要した症例を経験したので報告する.