日本臨床外科学会雑誌
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症例
発見より5年後に手術を施行した早期胃癌の1例
楠田 慎一北原 光太郎藤田 加奈子伊達 和俊
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2007 年 68 巻 3 号 p. 591-594

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抄録

症例は65歳, 男性. 平成11年4月に貧血精査のため上部消化管内視鏡検査を行った所, 胃前庭部後壁にIIcと思われる早期胃癌を認めた. 組織型は中分化型腺癌であった. 外科手術の適応と判断しその旨説明していたが, 患者自身の自己判断により来院せず, そのまま無治療となっていた. 平成16年1月風邪にて当院内科受診した際, 早期胃癌が約5年間放置されているのに気づき, 外科紹介となった. 上部消化管内視鏡検査にて, 前回の内視鏡所見と同部位にIIc様の陥凹病変あり, 組織型は中分化型腺癌であった. 平成16年3月幽門側胃切除術を施行した. 病理組織学的深達度はpT1 (SM2) であり, 5年間放置したにもかかわらず早期胃癌の状態であった. 早期胃癌を長期間放置すること自体非常に稀であるが, 今回5年間の無治療にもかかわらず早期胃癌の状態であった症例を経験したので報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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