日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸閉塞をきたした非特異性小腸潰瘍の1例
金田 和久上西 崇弘栄 政之山本 隆嗣石原 寛治大野 耕一
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2007 年 68 巻 3 号 p. 599-602

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抄録

症例は63歳, 男性. 腹痛および嘔吐を主訴に外来受診した. 腹部は著明に膨満し, 腹部全体に圧痛が認められた. 腹部単純X線上, 小腸ガス像が著明であり, 鏡面像形成も認められた. 腹部CT検査でも, 腸管の拡張および小腸狭窄像が認められた. 以上より腸閉塞と診断して, イレウス管を挿入した. イレウス管挿入5日後には症状が軽快し, 排便もみられたためイレウス管を抜去したが, 腹痛および嘔吐が再燃したため開腹術を施行した. 腹腔内に少量の腹水を認め, 回盲部より120cmの回腸に約5cm長の狭窄がみられ, 口側の回腸は著明に拡張していた. このため狭窄部を中心に約15cmの回腸部分切除を施行した. 切除標本では輪状潰瘍瘢痕がみられ, 病理組織学的にはU1-IIの潰瘍で, 非特異性潰瘍と診断した. 術後経過は良好で, 術後19日目に退院した. 術後4カ月経過した現在, 症状の再燃みられず, 社会復帰している.

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© 2007 日本臨床外科学会
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