2008 年 69 巻 11 号 p. 2774-2777
症例は84歳,女性.20年前より頸部に腫瘤を自覚していたが放置していた.2003年2月,転倒し右橈骨々折にて当院整形外科を受診した際に頸部腫瘍を指摘され当科紹介となった.腫瘍は最大径18cm大と巨大であったが,症状は腫瘍による腫瘤触知,頸部違和感のみで呼吸困難や嗄声などは認めなかった.頸部CT検査では甲状腺右葉の一部から発生した多結節癒合状の腫瘍で内部不均一であり,周辺組織を圧排していたが,周囲との境界は比較的明瞭であるため,切除可能と判断し外科的治療を行った.手術は甲状腺右葉切除を施行し,術後の病理組織診にて甲状腺濾胞癌の診断を得た.術後5年を経過した現在,無再発で外来経過観察中である.