抄録
症例は70歳,女性.平成4年10月に原発巣が不明の多発肝転移およびリンパ節転移の診断を受けていたが,経過観察となっていた.平成5年1月に,腹痛のため当院を救急受診し,汎発性腹膜炎にて緊急手術となった.回腸末端部約20cmにわたって壁の肥厚,硬化および膿苔の付着がみられたため,同部の穿孔と考え回盲部切除を行った.術後の病理検査でびまん浸潤型の回腸癌(中分化腺癌)と診断した.小腸癌はほとんどが輪状に発育し,本症例のように腸管の長軸に沿ってびまん性の発育をしめした症例は,過去に報告がなく極めて稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.