日本臨床外科学会雑誌
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症例
von Recklinghausen病に合併した多発小腸GISTが憩室を介して出血した1例
中右 雅之宮下 正前田 賢人
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2008 年 69 巻 2 号 p. 390-394

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抄録

症例は65歳,女性.繰り返す下血の精査目的に入院.全身にcafé au lait spotと皮膚結節認めvon Recklinghausen病と診断された.CTで腹腔内に造影される多発腫瘤,腹部血管造影では上腸間膜動脈領域に腫瘤と一致した濃染像を複数認め,小腸造影では多発小腸憩室を認めた.小腸腫瘍,または小腸憩室からの出血と考え,開腹手術を行った.空腸から回腸にかけ,壁外性発育を示す集簇する大小多数の腫瘍を認めた.腫瘍集簇部の小腸を切除,散在する腫瘍は可及的に全切除した.免疫染色にて腫瘍はKIT,CD34の発現が陽性で,小腸多発GISTと診断した.憩室は肉眼的,組織学的に腫瘍と連続し,下血は憩室を介した多発小腸GISTからの出血と診断した.

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© 2008 日本臨床外科学会
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