日本臨床外科学会雑誌
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症例
切除標本にてsevere dysplasiaと診断されport site recurrenceをきたした胆嚢上皮内癌の1例
平井 健次郎寺島 剛細川 慎一小野 一雄武内 英二財間 正純
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2008 年 69 巻 2 号 p. 427-432

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抄録

症例は70歳,女性.2004年5月胆嚢結石症の診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LC)を施行した.術中胆汁の漏出は認めず臍部のポートより胆嚢を摘出した.病理組織診断はsevere dysplasiaであった.2005年12月頃より有痛性の腹部腫瘤を触知し入院,腹壁腫瘤摘除術を施行し,病理組織学的検討で胆嚢粘膜内癌によるport site recurrenceと考えられた.転移経路は胆嚢の創外摘出時胆嚢管断端のポート部腹壁への接触によるimplantationが最も考えられた.LCの増加に伴いLC後に胆嚢癌が判明する症例は今後も後を絶たないであろう.術前検査,術中所見ともに癌が疑われなくともport site recurrenceの危険性があることを念頭におき慎重な手術操作を心掛ける必要があると考えられる.

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© 2008 日本臨床外科学会
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