日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断に3D-CTが有用であった腹腔・上腸間膜動脈閉塞を伴った膵頭部癌の1例
鈴村 和大斉藤 慎一黒田 暢一麻野 泰包藤元 治朗
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2008 年 69 巻 2 号 p. 448-451

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抄録

症例は69歳,男性.近医にて膵頭部腫瘍を指摘され,精査加療目的にて当院入院.腹部造影CTにて膵頭部に約1.5cm大の不均一に造影される腫瘍を認め,膵管の拡張を認めた.また大動脈壁に石灰化を認めた.Three dimensional computed tomography(3D-CT)では腹腔動脈と上腸間膜動脈は根部で共通幹を形成していた.しかし,その起始部は確認できなかった.さらに下腸間膜動脈が発達しており,結腸辺縁動脈を介して,中結腸動脈から腹腔動脈と上腸間膜動脈の共通幹に血液を供給していると考えられた.よって動脈硬化性の腹腔動脈と上腸間膜動脈の共通幹閉塞と診断.これら動脈側副路である結腸間膜動脈を損傷しないように,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.膵頭十二指腸切除術の術前に血行動態を把握することは重要であり,そのために3D-CT検査は有用であると思われた.

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© 2008 日本臨床外科学会
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