日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
緊急手術を施行した小腸嵌頓白線ヘルニアの1例
伊藤 貴明平松 聖史待木 雄一櫻川 忠之関 崇加藤 健司
著者情報
キーワード: 白線ヘルニア, 嵌頓, 小腸
ジャーナル フリー

2008 年 69 巻 2 号 p. 480-483

詳細
抄録

症例は80歳,女性.2003年2月腹壁ヘルニアと診断され手術を勧められていたが,放置していた.2006年10月腹痛が出現,当院救急外来を受診した.上腹部正中に鶏卵大の著明な圧痛を伴う腫瘤を触知した.CT上同部位に腹腔外への脱出した小腸像とその周囲の液体貯留像を認めた.脱出した腸管の用手的還納が困難であったため白線ヘルニア嵌頓と診断,同日緊急手術を施行した.手術所見では,白線上に直径2cmのヘルニア門を認めた.ヘルニア嚢を全周性に剥離,嵌頓した腸管はうっ血のみで壊死を認めなかったのでヘルニア嚢はそのまま還納した.ヘルニア門の修復はtension free repairとし,白線の前後面2層にpolypropylene mesh sheetを挿入した.術後経過は良好で術後2日目に退院,再発なく経過している.白線ヘルニアの小腸嵌頓は稀である.この稀な白線ヘルニア嵌頓の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 2008 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top