日本臨床外科学会雑誌
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症例
マムシ咬傷後に急性腎不全・呼吸不全を呈し救命した1例
錦織 直人明石 諭松山 武今西 正巳渡辺 明彦川口 正一郎
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2008 年 69 巻 2 号 p. 484-488

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抄録

75歳の女性.平成18年8月下旬ヘビに右第1・2趾を咬まれ当院外来受診し経過観察入院となった.腫脹の進行に伴い横紋筋融解症による急性腎不全,高度炎症所見上昇,呼吸状態の悪化を認め,当救命救急センター紹介となった.症状の経過からマムシ咬傷を疑い,受傷後1日半経過していたが抗マムシ毒素血清とセファランチン®を投与した.CPKは112,200IU/lまで上昇していたが抗マムシ毒素血清投与後速やかに正常化した.急性腎不全・呼吸不全と肝機能の悪化を認め,持続血液濾過透析と人工呼吸管理を行った.尿量は受傷後3週目より徐々に回復し,4週目に透析から離脱した.マムシ咬傷による死亡原因は急性腎不全によるものが最多で,その原因は横紋筋融解によるミオグロビン血症やマムシ毒自体の腎毒性等による.急性期に透析・人工呼吸管理等の集中加療を行い救命しえた1例を経験したので報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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