日本臨床外科学会雑誌
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症例
酢酸オクトレオチドが有効であった鈍的外傷による乳び胸の1例
蜂須賀 康己魚本 昌志
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2008 年 69 巻 7 号 p. 1638-1642

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抄録
症例は66歳,女性.2007年6月,交通事故による左下腿骨粉砕骨折,腰椎圧迫骨折,両側肋骨骨折にて当院整形外科に入院した.受傷後1日目に呼吸苦を訴え,CTにて左大量胸水を認めた.呼吸器外科にて胸腔ドレナージを施行し,血性胸水の流出を認めた.受傷後2日目に牛乳を飲んだ後,ドレーン排液が白濁した.排液中のtriglyceride(TG)は333mg/dl(血清TG 107mg/dl)と高値であった.同日の造影CTにて,左第1肋骨骨折部位での鎖骨下動脈の圧排を認めた.以上の所見から,胸管損傷による外傷性乳び胸と診断し,絶食の上,酢酸オクトレオチド150μg/dayの皮下注による投与を5日間行った.受傷後5日目にドレーン排液は黄色透明となり,受傷後10日目に胸腔ドレーンを抜去した.われわれが検索しえた限り,鈍的外傷による乳び胸に酢酸オクトレオチドが有効であったとする報告例は,自験例が本邦初である.
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© 2008 日本臨床外科学会
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