日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸癌にFournier's gangreneを合併した1例
諸橋 一山田 恭吾松浦 修山崎 総一郎藤田 正弘
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2008 年 69 巻 7 号 p. 1823-1827

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抄録

Fournier's gangreneは会陰部に発生する劇症型の感染性壊疽で早急に治療を施さないと予後不良な経過をたどる疾患である.直腸癌にFournier's gangreneを合併した報告は稀であり,自験例が本邦で9例目の報告である.
症例は会陰部に広範な黒色の壊死が出現し,Fournier's gangreneと診断された60歳男性である.入院翌日に人工肛門造設術,創部のデブリードマンを施行,術後は連日創洗浄し,創の肉芽化を促した.CTで直腸Rb後方に壁肥厚像,大腸内視鏡検査では直腸Rbに全周性の隆起性病変を認められ,生検では高分化腺癌と診断された.しかし,経過中にMRSA敗血症となり,根治手術に至らずに永眠された.
Fournier's gangreneに直腸癌を合併している場合の治療方針は感染供給源の根絶と癌の根治性の2方面からの治療を考慮する必要があると考えられた.

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© 2008 日本臨床外科学会
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