抄録
症例は97歳,女性.2003年10月に右閉鎖孔ヘルニアで緊急開腹術をうけている.その際術中に対側のわずかな閉鎖孔の陥凹が認められていた.2006年8月下旬夕方に腹痛,嘔吐を自覚しその翌日に入院となった.腹部CTで小腸の拡張,左恥骨と外閉鎖筋との間に腸管と思われる腫瘤影を認めた.左閉鎖孔ヘルニアの診断で緊急開腹術を施行した.腹腔内を観察すると,小腸の拡張とTreitz靱帯より約1mの空腸の腸間膜対側に発赤を認めたが穿孔,壊死を認めず,腸切除は施行しなかった.ヘルニア門はpreperitoneal approachでメッシュプラグ法にて修復した.術後経過は良好で術後22日目に退院した.高齢者の閉鎖孔ヘルニア治療においても,対側の閉鎖孔ヘルニアの可能性を念頭におくことが重要であろう.