2008 年 69 巻 8 号 p. 1887-1891
症例は55歳,女性.右乳癌術後(invasive lobular carcinoma,pT2,pN1,pM0,stageIIB,estrogen receptor(ER)(+),progesteron receptor(PgR)(+)),対側腋窩リンパ節再発に対し腋窩リンパ節郭清を行い,術後アロマターゼ阻害剤による内分泌療法を行っていた.その術後1年6カ月に,血清CEA値が12.6ng/mlと上昇傾向を示し,FDG-RET/CTで子宮に淡い集積を認め,MRIでは造影効果をうけるびまん性に腫大した子宮を認めた.子宮内膜組織診で転移性の低分化型腺癌が示唆され,子宮全摘術,両側付属器切除が行われた.切除標本において,ER(+),PgR(+)を示した初発乳癌(invasive lobular carcinoma)の子宮転移と確定診断された.現在術後1年9カ月を経過し,多発骨転移,軽度の水腎症を認めるが,外来化学療法を行い無症状で経過している.