抄録
盲腸捻転症は遭遇する機会の少ない比較的稀な疾患である.今回われわれは90歳以上の高齢者2例の盲腸捻転症を経験した.症例は96歳と92歳の高齢者で,腹痛,嘔吐を主訴とするイレウスで発症し,CTと注腸造影で盲腸軸捻転を疑われ緊急手術が施行された.2例ともに盲腸の後腹膜への固定は不良で,回盲部が捻転しすでに壊死に陥っていた.そのため腸切除が行われ一期的に再建が行われた.術後経過は2例ともに良好であった.2例とも特別養護老人ホーム入所中の準寝たきりの高齢者であった.本疾患は比較的稀ではあるが,高齢化社会の到来とともに今後増加が予想され,高齢者のイレウス症例では本症も念頭において診断・治療を行うことが必要と考えられた.高齢者においても腸管切除を安全に行い得る現在では,術後の捻転再発も考慮し,術式としては捻転した回盲部の切除が第一選択と考えられた.