日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
横行結腸癌を先進部とした腸重積で,重積先進部を容れる肛門側結腸が穿孔した1例
中川 和也長嶺 弘太郎亀田 久仁郎徳久 元彦盛田 知幸久保 章
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 69 巻 8 号 p. 2043-2047

詳細
抄録

成人の腸重積症は稀で,さらに腸重積による大腸穿孔から腹膜炎を起こした例は極めて稀である.今回その1例を経験したので,ここに報告する.症例は56歳,男性.腹痛を主訴に平成19年12月他院に入院され,第12病日腹部単純X線写真上free airを認め,消化管穿孔の診断で当院紹介受診となった.来院時意識清明で,上腹部に圧痛,筋性防御を軽度認めた.腹部単純CTより横行結腸癌を先進部とする腸重積に伴う大腸穿孔,汎発性腹膜炎と診断し,同日緊急手術を施行した.開腹すると,横行結腸脾彎曲部よりに直径5cmの穿孔を認め,穿孔部からは2型腫瘍を先進部とする約10cmの重積腸管が腹腔内に露出していた.口側腸管の拡張および浮腫は著明で,低栄養でもあるため腸管吻合は施行せず,上行結腸,横行結腸,下行結腸切除術+D1郭清,回腸人工肛門造設,腹腔ドレナージ術を施行した.術後経過は良好で,術後13日目に前医へ転院となった.

著者関連情報
© 2008 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top