抄録
症例は34歳,女性.1週間前に右乳房の腫瘤に気づき当院外科を受診した.右AC領域に直径約2cm大の腫瘤が触知された.穿刺吸引細胞診では診断するに至らず,摘出生検にてglycogen-rich clear cell carcinomaと診断された.このため,摘出生検より3日後に右乳腺扇状部分切除術,腋窩リンパ節郭清(Bq+Ax)を行った.病理検査結果はn0,estrogen receptor(ER)陽性,progesterone receptor(PgR)陰性,human epidermal growth factor receptor2(HER2)陰性であった.残存乳房に放射線治療を行うと共にZoladex+tamoxifen(TAM)によるホルモン療法を開始した.術後5年を経過したが,現在再発の徴候を認めていない.
glycogen -rich clear cell carcinomaは全乳癌の0.9~3%と比較的稀な疾患である.組織学的には,腫瘍細胞全体の90%以上が胞体内に多量のグリコーゲンを含んだ,淡明な細胞からなる腫瘍と定義され,本邦での報告も少なからず散見されるようになってきた.全例が女性であり,本疾患の予後については,未だ明らかでない.