2009 年 70 巻 1 号 p. 224-227
症例は34歳,女性.2004年10月,腰痛出現し,USにて,後腹膜腫瘤を疑われた.腹部CTで大動脈分岐部腹側に内部が脂肪密度の径27×26mmの嚢胞性腫瘤を認め,腹部血管造影ではavascular massの所見.腹部MRIで腸間膜内に存在し腸間膜由来と考えられる径34×28mmの周囲との境界明瞭,辺縁に被膜有し,内部はT1,T2ともに高信号の病変を認め,腸間膜奇形腫と診断された.当科紹介され,腫瘤摘出術施行した.病理診断はBenign mesenteric cystic teratomaであった.
奇形腫は腸間膜を含め消化管に関連する部位からの発生は極めて稀であり,術前に良悪性を確定することは困難である.手術的に全摘できれば臨床的予後は良好であり,治療は外科的切除が第一選択と考えられる.