日本臨床外科学会雑誌
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症例
イレウスに併発した特発性縦隔気腫の1例
宮本 良一柳澤 和彦山本 雅由稲川 智寺島 秀夫大河内 信弘
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2009 年 70 巻 2 号 p. 394-398

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抄録

症例は19歳,女性.腹部膨満感を主訴に近医受診し卵巣嚢腫と診断された.当院で右付属器切除術および大網部分切除術を施行された.病理組織診断は卵黄嚢腫瘍であった.術後13日目より抗癌剤治療を開始したが,開始後9日目頃より頻回の嘔吐を認め,イレウス症状が出現した.同時期より右頬部から頸部にかけての腫脹と握雪感も認めた.頸胸部CT検査では,胸部下部食道周囲から上縦隔,右頸部にわたり気腫像を認めた.食道造影検査では,造影剤の縦隔内への漏出は認めなかった.特発性縦隔気腫と診断し,保存的加療の方針とした.イレウス管を挿入し腸管内圧の減圧で嘔気,嘔吐は消失し気腫像の改善も認めた.
今回,われわれは術後イレウスで頻回の嘔吐による胸腔内圧の上昇が契機と考えられた特発性縦隔気腫の1例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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