抄録
症例は75歳,男性.2008年4月頃より安静時にも前胸部痛を自覚していた.心臓カテーテル検査で左主幹部,前下行枝,回旋枝基部に優位狭窄を認めた.胸部レントゲン検査で右上肺野に約2cmの境界不明瞭な陰影を認め,胸部CT検査で右S2に胸膜陥入を伴う径20×35mmの結節影を認め肺癌を疑った.気管支擦過細胞診と肺胞洗浄液細胞診より扁平上皮癌と診断された.左主幹部病変による虚血性心疾患と全身麻酔のリスクおよび患者さんの負担や早期治癒を考慮して,狭心症と右上葉肺癌に対して拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)と右上葉切除術を一期的に施行する方針とし,胸骨正中切開アプローチにて手術を行った.第13病日に心臓カテーテル検査にてグラフトの開存を確認後,第15病日に退院した.病理組織検査は扁平上皮癌でpT1N0M0,IA期であった.早期治療という点で一期的手術も考慮されるべきであると思われた.