抄録
症例は63歳,男性.糖尿病を有していた.主訴は熱発,腰痛,両下肢の腫脹である.尿路感染症の診断のもと近医で治療を続けていたが軽快しないため当院に搬送された.腹部CT検査では腎動脈下腹部大動脈右側に突出した嚢状動脈瘤を認め,周囲にはガス像を有していた.動脈瘤は下大静脈を圧迫し,尾側下大静脈の内腔には血栓が充満していた.血液培養検査よりSalmonella speciesが検出された.下大静脈血栓症を合併した感染性腹部大動脈瘤と診断し手術を行った.手術に先立って下大静脈フィルターを留置した.手術はY型人工血管を用いて解剖学的再建を行った.現在術後3年半を経過しているが感染の再燃は認めていない.