日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性虫垂癌の10例
里見 大介森嶋 友一豊田 康義山本 海介守 正浩小林 純
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キーワード: 虫垂癌, 腺癌, 粘液嚢胞腺癌
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2009 年 70 巻 2 号 p. 435-439

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抄録

1986年から2007年までの当院の原発性虫垂癌手術症例の臨床病理学的検討を若干の文献的考察を加えて行った.同時期の大腸癌手術症例1,258例に対し原発性虫垂癌は10例(0.79%)であった.平均年齢59.7歳(43~72歳),男女比7対3.術前に虫垂癌と診断しえたのは1例(10%)のみだった.術式は回盲部切除5例,結腸右半切除1例,虫垂切除4例でうち1例は回盲部切除を追加した.組織型は,粘液嚢胞腺癌5例,腺癌5例(低分化1例).全例SS以深であった.リンパ節転移は1例(10%)に,肝転移を1例(10%),腹膜播種を3例(30%)に認めた.StageII7例,StageIV3例であった.生存例は8例で無再発生存5例,死亡例2例(いずれも腹膜播種)であり,再発形式は腹膜播種であった.術前診断は困難で,発見時に進行例が多く,特に腹膜播種率が高かった.集学的治療による予後改善が期待される.

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© 2009 日本臨床外科学会
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