抄録
症例は68歳,女性.突然の右側腹痛,嘔吐を主訴に当院救急搬入された.右下腹部と下腹部正中に手術痕を認めた.右下腹部に高度の自発痛・圧痛を認め,腹部単純X線写真で小腸広範に拡張像とガス像を認めた.腹部CT検査で上行結腸外側にも著明に拡張した小腸を認め,上行結腸は正中へ変位していた.鎮痛剤,鎮静剤にて疼痛の軽減を図ることが困難であった.術後癒着性イレウスまたは内ヘルニアの嵌頓と考え,試験開腹術を施行した.開腹所見では腹腔内の癒着をほとんど認めず,上行結腸外側の傍上行結腸窩に小腸が嵌頓していた.ヘルニア門を開放し小腸を整復した.嵌入した小腸は壊死に陥っていなかったため,小腸切除は施行しなかった.ヘルニア門を縫合閉鎖し手術を終了した.術後経過は良好で術後18日目に軽快退院となった.傍上行結腸窩に起こる内ヘルニアは非常に稀な疾患であり,画像所見も特徴的であったので若干の文献的考察を加えて報告する.