抄録
目的:下部直腸腫瘍に対する部分的内肛門括約筋切除術(partial intersphinteric resection;p-ISR)の術後排便機能,quality of life(QOL)を従来の肛門括約筋全温存術(ultra low anterior resection;ULAR)と比較検討した.対象と方法:下部直腸腫瘍に対してp-ISR及びULARを施行した計27症例の術後排便機能およびQOLをアンケートで評価した.結果:p-ISR群12例,ULAR群15例であった.肛門縁から腫瘍下端までの距離は36.9mmと61.0mmでp-ISR群が有意に低い位置にあった.術後Wexner scoreはp-ISR群で高い傾向にあったが,術後3カ月のみ有意差を認めた.排便回数は両群間に差は認めなかった.術後QOLはSF-36の各項目に両群間で有意差を認めなかった.結語:p-ISR後の排便機能はULARと比較して便失禁が多い傾向にあるもののQOLに差を認めなった.今後さらに症例を蓄積した検討が必要である.