抄録
症例は74歳,女性.夕食で鯛を食べた直後より咽頭部違和感が出現し当院受診した.CTで頸部食道に縦走する線状陰影を認め,魚骨による食道異物と診断した.しかし,上部消化管内視鏡では頸部食道に点状の粘膜発赤を認めるのみで魚骨を認めず,魚骨は食道筋層内へ完全に迷入していると考えられた.内視鏡的摘出が不可能であり,食道外切開術施行した.食道を露出したが,触診上魚骨を触知しなかった.術中エコーにて魚骨の正確な位置を診断し,筋層切開して魚骨を摘出した.術後第11病日に合併症なく軽快退院した.咽頭部違和感は消失し,術後1年で遅発性の合併症を認めない.穿孔を伴わない食道筋層内へ完全迷入した魚骨による食道異物は稀であり,それに対し食道外切開を施行した1例を経験したので報告する.