日本臨床外科学会雑誌
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症例
低分化腺癌部とAFP産生部で術前化学療法の効果に差を認めた胃癌の1例
若原 智之阪 眞森田 信司田中 則光深川 剛生片井 均
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キーワード: AFP, 胃癌, 術前化学療法
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2009 年 70 巻 7 号 p. 1992-1996

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抄録
症例は38歳,女性.腹痛およびタール便を主訴に近医受診,上部消化管造影検査および内視鏡検査にて4型胃癌と診断された.初診時の腫瘍マーカーはCEA,AFPがともに高値であった.審査腹腔鏡にて洗浄細胞診陽性のため術前化学療法(S1+CDDP)を2クール施行した.CEAは基準値まで低下したものの,AFPは上昇していた.再度の審査腹腔鏡で洗浄細胞診が陰性となり,肝転移も認めなかったため,根治的胃全摘+脾合併切除を施行した.術後の病理組織学的検査で,低分化腺癌が存在した部位には化学療法の効果による組織変性を認めたが,AFP産生部位には全く効果を認めなかった.術後もAFPは上昇をつづけ,術後2カ月目の腹部CTで多発肝転移の出現をみた.本症例は腫瘍内の癌組織型の差により術前化学療法の効果に大きな差を認めた稀な症例であるともに,術前化学療法中の腫瘍マーカーの推移に関して示唆に富んだ症例である.
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© 2009 日本臨床外科学会
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