抄録
消化管MALTリンパ腫は,胃に最も多く,小腸や大腸においては稀である.今回,回盲弁に発生したMALTリンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.検診にて便潜血陽性を指摘されたため,当院消化器内科にて下部消化管内視鏡検査を受けた.回盲部に亜有茎性ポリープ様の30mm大の腫瘍性病変を認めた.抗凝固療法中であったため生検は施行せず.診断および治療目的にて回盲部切除施行.組織学的所見では中型のリンパ腫細胞がびまん性に浸潤し,lymphoepithelial lesionの形成も認めMALTリンパ腫と診断した.他臓器には異常所見は認めなかったため化学療法は施行しなかった.消化管原発MALTリンパ腫の治療法に関しては胃以外の消化管病変において確立されたものはない.局所的治療法によって長期の無病生存が期待できると報告されているが,多臓器多発の報告もあり経過観察が必要である.