抄録
急性腹症をきたす疾患は様々なものがあり得るが,早期診断を得ることで,良好な経過をたどることを経験することは多い.今回われわれは,急性腹症をきたす疾患としてまれな胆嚢軸捻転を経験した.腹部造影CT検査および腹部エコー検査にて胆嚢の腫大,造影効果の少ない壁肥厚,胆嚢壁への血流不全といった特徴的所見を把握し胆嚢軸捻転症の診断を得た.88歳と高齢ではあったが,術前より同疾患を診断し早期手術を行ったため術後合併症なく第10病日に軽快独歩退院することができた.本症例では開腹手術を選択し手術を安全かつ迅速に対応できたことが今回のような良好な結果が得られたもう一つの要因と思われた.急性腹症の診断,特に急性胆嚢炎の診断においては胆嚢軸捻転症を念頭に置く必要があり,症例に応じて腹腔鏡下手術,開腹手術を選択するべきである.