抄録
腹腔鏡下手術はその低侵襲性から急速に腹部各臓器に対する手術として普及し,後腹膜腫瘍への腹腔鏡手術の施行例の報告も散見される.われわれは径約7cmの後腹膜脂肪腫に対して腹腔鏡下摘出術を施行した.症例は30歳代の男性.CT検査,MRI検査で内部構造が均一な脂肪成分から構成される腫瘍が左腎周囲腔に,左副腎,左腎を圧排するように存在しており,同部から発生した後腹膜脂肪腫と考えられた.手術は完全鏡視下にGerota筋膜を脂肪腫側に付着させ腫瘍周囲を切離するとともに,被膜を損傷することなく全周剥離し,左副腎を温存して摘出に成功した.腹腔鏡下手術の特徴である拡大された視野での詳細な観察の下での安全な手術操作は,後腹膜腫瘍に対して有用と考えられ,今後の積極的な活用が期待されると考えられた.