日本臨床外科学会雑誌
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症例
多発性筋炎を合併したS状結腸癌の1例
板谷 喜朗河本 和幸伊藤 雅小笠原 敬三能登原 憲司
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キーワード: 多発性筋炎, 大腸癌
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2010 年 71 巻 1 号 p. 159-163

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抄録
症例は70歳,男性.2008年12月四肢近位の筋痛で体動困難となり近医を受診した.筋原酵素(CK)の上昇と腎機能低下を認め,横紋筋融解症と診断された.安静補液後も筋力低下や嚥下障害を認め,2009年1月精査加療目的で当院を紹介となった.受診時CK3,059IU/lと著明高値で,筋電図や大腿筋MRIの所見から多発性筋炎と診断した.また腹部CTと大腸内視鏡検査で肝転移を伴うS状結腸癌と診断し,S状結腸切除,肝切除を施行した.CKは術直後に585IU/lまで低下し,3カ月後には正常化し,筋力も徐々に回復した.臨床経過とCKの推移からS状結腸癌に伴う悪性疾患関連筋炎と診断した.皮膚筋炎と悪性腫瘍の合併は知られているが,多発性筋炎を合併した大腸癌の報告例は少なく,本症例は貴重な1例と考える.
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© 2010 日本臨床外科学会
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