日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
原著
StageII大腸癌の再発危険因子の検討
石崎 哲央寿美 哲生安田 祥浩勝又 健次青木 達哉島津 元秀
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 3 号 p. 627-633

詳細
抄録

目的:stageII大腸癌の再発危険因子を明らかにし,術後補助化学療法の適格症例を検討する.対象と方法:1993年1月~2005年12月の間に手術が行われ組織学的に根治度Aと診断されたstageII大腸癌195例を対象とした.再発の有無について各臨床病理学的因子を用い単変量解析を行い,多変量解析により再発危険因子を選択し,生存率解析を行った.結果:再発に寄与する因子は単変量解析で性,年齢,深達度,ly,vで有意差を認め,多変量解析でly,性,v,深達度が再発危険因子に選択された.これらの再発危険因子を2つ以上有する症例は再発率27.9%以上,累積無再発5年生存率61.2%であり再発高リスクstageIIと考えられた.再発高リスクstageIIにおいては術後補助化学療法の有無別で累積無再発5年生存率に有意差(p=0.53)を認めなかった.考察:再発危険因子はly,性,v,深達度であり,これらの再発危険因子を2つ以上有する症例は再発高リスクstageIIと考えられた.術後補助化学療法の効果についてはrandomized controlled trialが必要と考えられた.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top