日本臨床外科学会雑誌
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症例
第3胸椎破裂骨折により外傷性食道破裂をきたした1例
菅野 博隆北村 正敏鈴木 謙
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2010 年 71 巻 3 号 p. 677-682

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抄録

症例は75歳,男性.車にはねられ当院救急外来に搬送された.来院時四肢不全麻痺あるも胸部X線写真では異常なく,CT,MRIにて右血胸,縦隔血腫,頸髄圧迫,頸椎骨折,第3胸椎破裂骨折を認めICU入院.受傷4日後呼吸状態悪化し人工呼吸を開始した.同日挿入した右胸腔ドレーンより血性排液あり,翌日に膿性排液となり,CTで血胸の増悪,縦隔気腫も認めた.受傷6日後の内視鏡にて食道穿孔を認め,外傷性食道破裂と診断し同日緊急手術施行.頸部アプローチ下食道部分切除・食道瘻造設,開腹下胃瘻・腸瘻造設術施行.食道破裂は胸椎骨折の骨片による損傷が原因と考えられた.外傷性食道破裂は稀であり,胸椎骨折による損傷の報告はみあたらない.本症では早期診断が重要であるが困難な場合も多く,胸腹部外傷例では本症の存在も念頭に置いた注意深い経過観察が必要と思われた.

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