日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
感染性上腸間膜動脈瘤の1手術例
青山 徹孟 真橋山 直樹松川 博史益田 宗孝
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 3 号 p. 673-676

詳細
抄録

症例は60歳,女性.主訴は微熱.既往歴は他院で僧帽弁閉鎖不全症の診断で定期経過観察中であった.現病歴は,2007年9月下旬から微熱が持続した.近医を受診し精査の結果,感染性心内膜炎(IE)と診断された.加療目的に当院循環器内科入院となり,病状から保存的治療の方針となった.入院28日目に突然心窩部痛を訴えた.腹部超音波および腹部CTを施行したところ上腸間膜動脈瘤を認めた.上腸間膜動脈瘤の切迫破裂と考え,緊急手術を施行した.手術は,上腸間膜動脈結紮および動脈瘤縫縮術を施行した.術中,上腸間膜動脈を結紮しても遠位側腸管に虚血はみられず,血行再建は施行しなかった.術後,一時的に下痢症状がみられたが内服加療で経過良好となった.現在外来通院中である.感染性心内膜炎では,全身の動脈に感染性動脈瘤を形成している危険性があり,IE治療中および経過観察中の血管造影・造影CTが重要であると考えられた.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top