日本臨床外科学会雑誌
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症例
長期生存が得られた,同時性肝,副腎転移を伴ったS状結腸癌の1例
林 昌俊安村 幹央木山 茂上松 孝
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キーワード: S状結腸癌, 肝転移, 副腎転移
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2010 年 71 巻 3 号 p. 781-784

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抄録

症例は60歳,女性.主訴は便秘,下部消化管検査でS状結腸に2型の腫瘍を認めた.生検では高分化型腺癌であった.腹部CT,MRI検査で肝S6,右副腎に腫瘍を認め,肝,副腎転移を伴うS状結腸癌と診断し,S状結腸切除術,肝後区域切除術,右副腎摘出術を施行した.肝,副腎とも高分化型腺癌を認めpSE,pN2,sH1,sM1(副腎)fStage IVと診断した.化学療法は施行せず術後6年経過し無再発生存中である.大腸癌の副腎転移は発見された時には多発性転移を伴うことが多く,切除例は少ない.副腎以外に遠隔転移巣があっても,原発巣,遠隔転移巣とも切除可能であれば,外科的切除により長期生存を得られる可能性が示唆された.

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© 2010 日本臨床外科学会
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