日本臨床外科学会雑誌
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症例
直接浸潤により子宮留膿腫を形成した直腸癌の1例
赤羽 和久小木曽 清二坂口 憲史橋本 瑞生石川 玲加藤 健宏
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2010 年 71 巻 3 号 p. 817-822

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抄録

症例は81歳,女性.平成18年10月下旬,意識混濁のために当院救急外来へ緊急搬送された.受診時に意識は回復しており神経学的な異常所見は認めなかったが,左下腹部に手拳大の腫瘤を触知した.直腸診では直腸前壁左方向に腫瘤と圧痛を認めた.腹部CTにて直腸S状部に腸管の壁肥厚像を認め,病変部腸管と子宮および左付属器との境界は不明瞭であった.また,子宮内腔にair fluid levelを認めた.注腸検査では直腸S状部に不整狭窄像を認めた.以上から直腸癌と子宮留膿腫の合併を疑い,低位前方切除術ならびに子宮および左付属器合併切除術を施行した.直腸腫瘍は子宮へ浸潤して瘻孔を形成しており,病理検査では子宮内腔まで癌の浸潤を認めた.本症例は直腸癌の子宮浸潤により直腸子宮瘻が形成され子宮留膿腫を呈したものと考えた.

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